明治時代の「氷コーヒー」
日本人が冷たいコーヒーを飲み始めたのは、意外にも古く明治時代にさかのぼります。文筆家の石井研堂は、自著『明治事物起原』(1908年)の中で、1891年(明治24年)当時、東京・神田の氷屋に「氷コーヒー」というメニューがあったことを記録しています。
当時の日本にはすでに、夏にスイカやきゅうりを井戸水で冷やして食べる「冷やす」文化が根づいていました。コーヒーを冷やして飲むという発想も、その延長線上で自然に生まれたものと考えられています。
「冷やしコーヒー」と呼ばれた時代
大正時代に入ると、喫茶店のメニューにも冷たいコーヒーが登場しはじめます。当時は「アイスコーヒー」ではなく「冷やしコーヒー」と呼ばれていました。
この時代に日本で広まった方法のひとつが、氷で薄まるのを避ける工夫です。あらかじめ瓶にコーヒーを詰め、井戸水や氷につけてゆっくり冷やしておく。こうすれば、氷を入れて薄まることなく、しっかりとした味のまま冷たいコーヒーを楽しめます。この「冷やしておく」方式のアイスコーヒーは、日本が発祥とも言われています。
松尾珈琲のアイスコーヒー
当店のアイスコーヒーは、有機栽培フェアトレードのブレンド豆を使っています。氷が溶けても味がぼやけないよう、ホットより濃いめに抽出してから急冷するのが基本です。
- ブレンド(HOT/ICE) ¥600
- カフェラテ(HOT/ICE) ¥650
- アイスティ ¥550
氷の量、抽出の濃さは、その日の気温に合わせて微調整しています。蒸し暑い日には、より濃く・しっかりめに。過ごしやすい日には、すっきりめに。
冷たい一杯は、ただ温度を下げただけの飲み物ではありません。暑い季節をやり過ごすための、日本人の知恵が詰まった文化なのだと思います。
冷たい一杯に合わせて
アイスコーヒーには、甘味のなめらかプリン(¥750)やクレームブリュレ(¥700)がよく合います。すっきりと冷えたコーヒーが、卵とミルクの甘さを引き立てます。
軽食のおにぎりや、香ばしトースト(¥400)と合わせて、ゆっくりとした午後の時間にも。秋田杉の店内で、静かなひとときをお過ごしください。