日本三大美林のひとつ「秋田杉」
秋田杉は、青森ヒバ・木曽ヒノキと並んで「日本三大美林」と呼ばれる代表的な天然林の木材です。秋田県北部の米代川流域を中心に育ち、寒冷地でゆっくりと生長するため年輪が細かく密であること、淡い紅色を帯びた心材と淡黄色の辺材のコントラストが美しいことが特徴とされています。
江戸時代から「御用材」として秋田藩の財源を支え、近代以降も建築材・家具材・酒樽材など幅広く用いられてきました。現在、天然秋田杉の伐採は林野庁によって厳しく管理されており、市場に流通する多くは人工林で育てられた秋田杉(秋田県産材)です。
松尾珈琲が秋田杉を選んだ理由
当店の店名「松尾珈琲」は、食材を仕入れている松尾牧場に由来します。松尾牧場は秋田県にあり、当店は牛肉のみならず、お米やいぶりがっこなど秋田の食材を中心にお出ししています。食材と同じく、空間もまた、秋田の恵みで満たしたいと考えました。
壁面から天井にかけて連続する杉の板張りは、訪れた方の視線が自然と上へと誘われ、天井の高さを感じる設計になっています。席と席の間をゆったり取り、空間全体で秋田の森のような落ち着きを再現することを目指しました。
木の香り・調湿作用・経年変化
杉材には「セドロール」と呼ばれる芳香成分が含まれており、リラックス作用との関連が研究されています。松尾珈琲の店内に入った瞬間に感じるほのかな木の香りは、この成分によるものです。
また、無垢材の杉は室内の湿度を吸放湿する性質があり、冷房や暖房で乾きがちな空気に対してやわらかい効果をもたらします。年月が経つにつれて木肌は淡い飴色へと深まっていき、10年後、20年後には今とはまた違った表情を見せてくれるはずです。
木は、伐ってからが本当の暮らしの始まりだと言われます。秋田の森で育った木を、ひばりヶ丘で長く使わせていただくことも、私たちにとってのひとつの恩返しだと考えています。
店内でぜひご覧いただきたい箇所
- 入口から入って正面、杉のルーバーで仕切られた席
- 天井を見上げたときの、杉板の連続する木目
- カウンター奥、照明に照らされて浮かぶ節の表情
空間ページでは、店内の写真をさらに多くご覧いただけます。お越しの際は、ぜひ一度ゆっくりと天井を見上げてみてください。